写真はラム革のシャツタイプレザー。
裏表の両面にナッパコーティングを施すこと軽やかな着心地を実現させた企画サンプル品。
両面加工なので裏地を必要せず、更に強め洗い加工による風合いが古着感も醸し出しています。
写真を見た皆様の感想は如何でしょう。
とても格好良く出来ているシャツレザーなのですが、写真ではイマイチその格好良さが伝わりません。
そう、実物に触れた方が断然格好がいいんです。
まだコロナ影響の少ない2月頭にサンプル確認をして、私達も工場スタッフもデザインを絶賛していたのですが、帰国後ニチワレリュームの女性スタッフに写真を見せてもあまりピンときていない様子。
それならと、急遽日本にサンプルを取り寄せたのですが、女性陣も現物を見てその格好良さを認めてくれました。
レザーシャツは毎年お客様から要望の声が多かったにも関わらず、これまでラインナップには加わっていませんでした。
そこで来シーズンこそはと、現在数型ほどサンプルを作成しているのですが、最初に上がってきたサンプルが良すぎるので、他のサンプル未確認ですが商品化するか悩みに悩んで来ました。
ただ正直申しますと、現時点ではいくつかの理由で「ボツ」になる可能性があります。
理由その一「プライス」
両面仕立ては加工の手間も技術も通常の倍、更に洗い加工も加わりますから、どうしても工賃が跳ね上がります。
更にこの風合いを出すには、通常よりも更に高クオリティのラム革が必要になります。
レザーダウンやレザーコートならともかく、レザーシャツの価格として想定すると、私たちが考える1.5倍近い値付けになること必至。
はたしてそのプライスでもはたして需要はあるのか。かなり悩みどころです。
理由その二「革のコンディション」
粗悪な革を使用している訳ではありません。この革は洗いやその他ダメージ加工をするうえで、多少ですが熱入れも行ないます。
写真の前身頃を見ればお分かりですが、表面の所々が熱入れによる茶色っぽい汚れの様な模様があるかと思います。
これは革の風合いによって表面に現れ、むしろこれが入ることで雰囲気のいいダメージ加工となるのですが、自然の風合い故の表情なのでどこに現れるかが分かりません。なので「このダメージ感いいよ」と褒めてくださる方、逆に「汚れみたいなのがNG」と嫌われる方、意見が賛否分かれる加工方法でもあります。
この革だからこその出せる表情なのですが、はたして需要があるのか。かなり悩みどころです。
理由その三「着やすさ」
実はここが一番の問題かもしれません。両面加工の一枚使用はとても高級感がある仕上がりなのですが、実は着る時に腕が革に引っかるので、若干着にくいスタイルでもあります。
革ジャンでもレザージャケットでも、洗い加工の場合は縮む修正を考慮して身頃に綿の裏地を使用するのですが、両袖だけは滑りやく袖を通しやすい様、ナイロン生地を使用します。でもせっかくの両面加工で仕上げを使用したシャツタイプに裏地を付けてしまうと雰囲気が台無しです。
雰囲気重視で着にくくなっても、はたして需要があるのか。かなり悩みどころです。
以上三つの悩みどころで検討中のシャツレザーですが、ボツになる可能性がありつつもご紹介をしてみました。
今のところ本当に未定のサンプルですが、無事商品化になりましたら、ご興味のある方は是非ご検討下さい。(ボツになったらごめんなさい)
革だからこその問題を解決したケース、革だからこそどうにもならないケースと、自然素材である革の仕様は様々ですが、解決策を見つけながらこれからも企画作業を続けていきます。