革ジャンのシワを取るアイロンの方法とは

「このボコッとした革ジャンの襟シワどうにかなんない?」

スタンド襟タイプの革ジャンやレザージャケットをご購入されたお客様から、たまにこの様なご質問を頂戴します。

詳しい説明は長くなりますので割愛しますが、革は布帛製品とはパターンや裁断方法が異なる事や、革自体(特にラム革)にコシがなく寄れやすい素材であるなど様々な理由から、スタンドタイプの革ジャンは多少なりとも襟シワが発生してしまいます。

この様なシワをなくす方法としてはアイロンが有効なのですが、なかでも一番効果的な方法が短時間でおこなう高温でのアイロン掛け。

「えっ、だってニチワレリュームのホームページで紹介しているレザーメンテナンスでは低温と記載があるじゃない?」と言われてしまいそうです。

確かにそのとおりで、革全般としてのアイロンは低温での使用を推奨しています。

なぜなら高温アイロンは素材によっては革自体を傷めてしまう事、また高温で革が縮んだり硬化してしまうケースがあるからです。

ここでの高温推奨は、一般的な表革素材を対象とした方法としてお考えください。

方法としてはシワを取りたい個所にあて布を敷き、そこに高温のアイロンを軽く押し付けて前後に動かしながら、約5秒前後アイロンを掛けたら革から離してください。

あて布を取り除いてシワの状態を確認し、まだシワが取れていないようでしたら革の表面を冷ましたのちに、再度同じ方法を繰り返して下さい。

これを繰り返すことで多少のシワは緩和されます。

因みに写真はこの方法を3回繰り返した状態です。

いかがでしょう。だいぶきれいになったかと思います。

注意点としては一度に長時間あてない事、そして必要以上に動かしすぎない事です。

それだけ注意すれば、ある程度のシワはきれいにする事が可能です。

またベジタブルなどの革に長時間高温アイロンをあてますと、凸凹した表面の凸部分が黒く焼けてしまったりします。

低温使用を推奨するのは、長時間押し付けることでこの様な状態や革を傷める事を避けていただくためです。

とは言え、近年は高温アイロンでわざとムラを出す製品も存在し、意外にもそのムラ感が格好良かったりもします。
実はニチワレリュームでもこの様な加工でヒットしたレザージャケットが過去に存在しました。

簡単な説明でしたが、高温アイロンで革のシワを取り除く方法いかがでしたでしょうか。

シワが気になりましたら、一度トライしてみて下さい。

コメント

  1. より:

    始めましてコメント失礼致します。
    私も低温でアイロンを利用しておりましたが、早速使用してみたいと思います。そこで質問ですが、スチームなど 少量の霧吹きなど お水は使用したほうが宜しいのでしょうか?宜しくお願い致します。

    1. nichiwa より:

      水の使用は少量でも厳禁ですので、アイロンをあてる時はスチームをしないようにて、必ずあて布をして下さい。

  2. 信子 より:

    こんにちは!アイロンは動かさずに、体重をかけてシワを取る方法がありますが、革表面の天然シボが、ぺったんこにならないでしょうか?

    1. nichiwa より:

      ご返信が大変遅くなり申し訳ございません。アイロンを動かさず、体重を掛ける方法ですが、仰るとおりシボの大きさやアイロンを当てる時間よっては、天然シボがぺったんこになる可能性はございます。
      特に質の低い革はシボも大きい物が多いので注意が必要です。この会のブログにて紹介したレザージャケットは、肌理の細かいラムでしたので、牛革やシボの大きい革に比べますと短時間のアイロンではシボが消えにくく、そもそ表面がフラットに近い革質のため、シボが消えるより、シワが気になる方お客様からのご相談が多い事もあり、この様な説明をさせて頂いておりました。ニチワレリュームでは、一定基準以上の肌理の細かいラムを中心に扱っておりますので、そのランクの革を想定してこの様な内容で書かせていただきました。肌理の細かいラム革のお持ちでしたら、ご参考いただければと思います。

  3. 黒澤尚美 より:

    ショートパンツのラム革なのですが、一度も着ないまま放置。

    年齢的に膝下ではきたいと、中に折られている物をのばしました。

    もとからの織り目線をアイロンでのばすのは難しいですか。

    因みに色は白です。

    1. nichiwa より:

      ご返事が遅くなりまして大変申し訳ございません。
      シュートパンツの折り返しをアイロンでのばして使用するのは難しいかとのご質問ですが、結論から申し上げますとお勧めする事は出来ません。
      ニチワ時代に袖が短いお客様からのご要望で、今回のご質問の様に袖口の折り返し部分を伸ばしてアイロンをあてたことがございますが、シワの部分の織り目が完全には消えるまでには至りませんでした。
      ただし、その時はお客様ご了解のもと、裏地を延長してつなぎ合わせたのと、色が黒という事で織り目以外は目立つことなくご使用いただいた事がございます。

      今回おすすめが出来ない理由としましては、白の場合、経年劣化により織り目が変色等で目立つ可能性がある事。また、パンツの場合は、革のつなぎ目が切りっぱなしの状態になりますので、つなぎ目部分から解れていく可能性がございます。

      以上、弊社からの回答でした。
      現物を確認しておりませんので想像での見解となりますこをご理解ください。

      これからもニチワレリュームをよろしくお願いいたします。

  4. ひで より:

    初めまして。靴などもその方法で可能でしょうか?

    1. nichiwa より:

      ご質問の件について、ご返答させていただきます。
      結論から申し上げますと、靴はこの方法の対象外となります。

      衣類は着用できる柔らかさを維持する方法、逆に靴はそれなりの硬さを必要とする理由から、同じ革でも鞣しや染色方法が異なります。
      その為、アイロンでのシワ取り方法は、あくまでも衣料革用となります。

      靴に関しましては、以前アイロンの蒸気を当ててシワを取る方法があると聞いたことがございます。
      おそらくですが、検索サイトにて「革靴 シワ取り」等で方法が見つかるかもしれません。

      以上、ご確認くださいませ。

  5. くろ より:

    初めまして。
    ディアスキンのレザージャケットなのですが、背中に入ったシワ(車の運転時に着用して付いてしまったものです)が気になっています。
    ディアスキンにご記載の方法でアイロンがけをしても問題ないでしょうか?
    また、他により良いシワの取り方などございましたらご教示いただけますと幸いです。
    よろしくお願いいたします。

    1. nichiwa より:

      ご質問の件について、ご返答させていただきます。

      ディアスキンにつきましてもこの方法は可能ですが、車の運転時のシワの様に長期で付いたシワの場合ですと、おそらくこのやり方でも取れない可能性の方が強いかと思われます。

      またディアは素材特有のシボ(生体時のシワ)が存在し、他の革より伸びやすい素材ですので、アイロンを当て過ぎますとシボが消えたり、その部分だけ革が伸びたり縮んだりしてしまう可能性がラム革以上にあります。

      今回の方法は、クローゼット収納等でついた軽いシワ取りを想定して書いておりますので、結論から申し上げますと、私共としましては、長期でついたディアのシワはアイロンを控えた方が宜しいかと思います。

      それでも、もしお試しになる場合は、当てる時間などに十分に気を付けて行なう様にして下さい。

  6. safe より:

    カーフスキンのバックが輸送によって付いたシワは低温でも治りますか?
    DIORのローラーバックと言って筒状の形をしていて厚くはないとおもいます

    1. nichiwa より:

      レザーウェアと靴・鞄といった小物は、染色時の熱の加え方など鞣し方法が違いますので、物によっては必ずしも同じ方法が可能とは申し上げられません。
      ただ、私も以前クリーニング機関の方より、シワの程度によっては、当て布してから低温アイロン(スチームは厳禁)が可能と聞いたことがございます。
      ただし、レザーウエアの場合は軽く上下に滑らせてのアイロンが可能ですが、バッグ等は基本体重を掛けて押すようにするのがポイントの様です。

      注意点としましては、硬化や縮みをさけるてめに水を含ませたり、高熱で長く当てないこと。また、塗料によっては、熱で溶けて変色の危険性がございますので、目立たない場所で試してみるのが宜しいかと思います。

      弊社はレザーウエアでの方法を書いておりますので、ご自身でされる場合は自己責任になってしまいますが、ご参考いただければと思います。
      また、なるべくでしたらご自身ではなく、革製品のリメイクを扱うところにご相談されるのが宜しいかと思います。

  7. リトルミィ より:

    初めまして。コメント失礼いたします。
    ラムレザーのブラックのスカート ですが、ウエスト部分にハンガー跡がついてしまいました。この場合は、ご記載の方法と低温のドライアイロンで体重をかける方法とどちらが良いでしょうか。他に良い方法がありましたらご教示ください。よろしくお願いいたします。

    1. nichiwa より:

      リトルミィ様 レザー専門店ニチワレリュームのブログをご覧いただきありがとうございます。

      ご質問のラムレザーの件ですが、通常の表革でしたら、ご紹介しております方法で問題はないと思います。
      強いシワやハンガー跡の場合は、低温では厳しいかも知れませんし、高温プレスの方が消せる可能性が高いです。(高温でも取れない場合もございます)
      ただし高温プレスは注意が必要ですので、十分注意をしてプレスをして下さい。

      また、今回頂きましたご質問内容について、せっかくですのでブログでもご紹介したいと思います。

      7月1日に投稿を予定しておりますので、是非、そちらもご覧いただければと思います。
      更に詳しく知りたい場合は、お電話でご相談も可能でございますので、お気軽にご連絡ください。

      1. リトルミィ より:

        早速にありがとうございました!
        レザーのスカート は、長く付き合っていきたい品ですのでアドバイスいただき助かりました。7月1日のブログも是非拝見します。
        どうぞ宜しくお願いいたします。

  8. HIDEO より:

    初めまして。
    schottのシングルライダースを買ったのですが、
    袖の肘から手首にかけて細かいシワがあります。
    どうしても気になります、自分でアイロンをかけるか
    クリーニング店などの専門業者に頼んでしわを伸ばすかなどで、
    少しはましになる可能性はありますか。
    宜しくお願いします。

    1. ニチワレリューム公式ブログ より:

      HIDEO様 以前ご質問いただきましたが、ご返信が出来ず申し訳ございません。
      弊社システムの問題で、暫くブログの方が稼働しておりませんでした。

      今更ですが、ご質問のご返答をさせて頂きます。

      シワに関してですが、弊社の場合、出荷前にアイロンを掛ける場合は、高温に設定した後に、当て布をした上から押す様にしながら、3秒前後上下にスライドさせてシワの部分へアイロンを掛けます。
      それでもシワが強くて取りきれない場合は、表面の熱が取れてから再度同様のプレスをし、それを数回繰り返す様にしております。
      また高温による長時間のプレスは、革の変色や熱による縮みの原因となりますので、必ず高温プレスの場合は短時間で掛けるのがオススメです。

      ただし革によっては熱への耐久が変わる可能性があり、schottさんがどの程度の革を使用しているのか分かりかねますので、一度メーカさんへご相談してみては如何でしょう。
      また織りシワではなく、動物本来の癖によるシワの場合は取りきれないかも知れません。

      以上が、私の方からの見解となります。

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