ちょうど一週間前の土曜日。
購入したレザーダウンの羽が抜けやすく、修理ができないか一度見てほしいという事で事務所にお越しいただいたお客様がいらっしゃいました。
ダウンはレザーや布帛に関係なく、通常は「ダウンパック」という生地でダウンを包み込んだ物を使用しています。
このパックをすることにより羽毛が外に出にくくする効果があります。また最近は生地の技術向上により、表地と裏地の間に直接ダウンを入れたノンパック方式を採用したダウン製品も流通されていますが、ダウン素材のほとんどはこの「ダウンパック」を採用した製品が殆どではあります。
そしてレザー製品はというと、基本「ダウンパック」を使用して作っております。
「ダウンパックに包んでいるなら羽毛が出るなんておかしいじゃない?」
「革は布帛生地と違って生地を突き抜けて出てこないはずでは?」
そんなご意見が聞こえてきそうです。
一つ一つ解説していきますと、まずダウンパック自体は密封性のある物ではありません。
ダウンは空気が含まれることでその保温力を得ますので、完全密封してしまうとダウンの効果が発揮できなくなります。
その為、通常の布帛生地と同じ様にダウンパックを突き抜けて飛出してしまう羽毛が少なからず存在します。
また、レザーダウンは布帛のような生地を突き抜けて羽毛が出てくることはないですが、布帛生地に比べますと針穴からは出てきやすい素材となります。
これは縫製時に太い革専用の針を使用する事により(布帛用針の4倍相当)針穴が大きくなってしまう事。また革の場合は一度開いた針穴を塞ぐ事が不可能なため、生地を突き抜ける事はないのですが、どうしても針穴の部分から羽毛が出てきやすくなってしまいます。
羽毛の飛び出しを緩和させる方法として、パーツごとにダウンを入れる方法もありますが、それでは重量がかさんでしまいます。
布帛生地と違いただでさえ重いイメージのレザー。
その為、ニチワレリュームでは重さを抑える理由から大きいダウンパックを裏地と革の間に挟みこんでミシンで縫い付けていますので、完成直後は縫い糸で挟まれた羽毛が着用する事で解れて外に出てきます。
着ることで少しずつ落ち着きますが、どうしても最初の頃は挟まれた羽毛が抜け出てきます。
以上の理由から安い高いに関係なく、レザーダウンジャケットは布帛に比べ、どうしても縫い目から羽毛が出やすい素材となります。
とは申しましても気になるお客様もいらっしゃる事も事実。
羽毛の飛び出しを防ぐと言うのは、私どもとしても昔からのテーマなのですが、ステッチの多いスタイルなどはどうしても羽毛が出やすく、色々な改良テストを行っても未だ完全解決には至っておりません。
今回ご訪問いただいたお客様にもこの様な理由から修理が難しい事をご説明させて頂きましたが、お客様自身が商品を大変気に入られているという事で、そのままお持ちになってお帰りになっられましたが、もちろんそれで一件落着とは思っておりません。
今後も生産時には少しでも改善の方法を検討し、少しでも羽毛の出難いレザーダウンの開発をと考えております。